モトミはお金の計算は苦手です。
でも、お昼ご飯は自分でお弁当を買いに行きます。
どうやって買うかというと、レジで1000円札を出すわけですね。で、ほぼ100%、お弁当ならそれで買えます。お釣りをもらって買い物終了。
にじ屋では、怪奇現象が時々起こります。
会計の後ろの机の上に、突然小銭が出現するのです。
会計に入っていたコバや陽ちゃんに聞いても
「わかんない。」
「さっきはなかった。」
でもコバは1分前のこと忘れちゃったりするからな~。
ホントに!?
大丈夫?
お客さんから預かったお金置いちゃったとかじゃなくて!?
と、ちょっと焦ったりもするけど、でも陽ちゃんも分かんないって言うなら、やっぱり突然出現したんだろうなあ…。
先日は、事務所のロッカーのところでミツが。
「なんか、隅っこにお金があったんだけど…何これ?」
と小銭を持ってきまして。
ぬぬぬ。
事務所でも発生し始めたか!?怪奇現象!
さて。
1000円札でご飯を買うモトミ。あとお金を使うことと言えば、自販機で缶コーヒーをよく買いますね。
でも¥130とか¥110とか¥150とかが分かるわけではないので、100円玉を、ランプが付くまで入れて、買う。だからまあ、100円玉が2枚あれば自販機で買えるということになります。
そんなわけで。
モトミにとって、必要なお金は1000円札と100円玉。
それ以外は無用の長物。
…。
10円玉が10枚揃ったら100円玉と同じ、という計算は難しいわけです。だから。自分の財布から、1000円札と100円玉以外は、抜いてしまう…。
おい。
ええ、怪奇現象の犯人はモトミであります。
とりあえず小銭も入れときゃいいじゃん、と思うわけですが、変なところで頑固な彼女は、「これはいらない」と、財布から抜く。そして、コソーっと机の上とかロッカーが並んでる隅とかに、置く。
これね、誰かに見つかったら「財布に入れとけ」と言われることが分かってて、それが嫌で、こっそりやってるものと思われます。
挙げ句の果てにはですね、わたくし、見てしまったのです。お弁当を買った後、お釣りの小銭をスーパーのゴミ箱に捨てているところを…。
ぎゃー!!!
なんちゅーことするの!!
「いやいやこれは、お財布に入れときなよ」と言ってみるものの、おかしなところで頑固なモトミ、「やだーーーーーー!!!!」と小銭を放り投げる…。
なんでやねん。
買い物に毎回一緒に行ければいいのだけど、そういうわけにもなかなかいかず。ふと気づいてモトミに財布を見せてもらうと、小銭入れに100円玉しかない…という、怪奇現象後の状態であることもしばしば…。
そしてついに先日、スーパーの店員さんから「これ、あの彼女がゴミ箱に捨てちゃったと思うのよね…」と、掃除の時に見つけた小銭を預かりました…。
あーあ。
いやしかし。
近所のスーパーの店員さんが、モトミのことをそんなふうに気にしてくれてるのって、すてきだなあって思ったのですよ。
ただ毎日買い物に行ってるだけのお客さんなわけだけど、でも毎日のように行ってるから、顔も覚えてもらえて、その行動も気にしてもらえる。
そうやって、知的障害のあるモトミだって地域の中で生きている。
この話だけだと「そんな大げさな」って思うかもしれませんが、でも、そういう小さな関わりがたくさんたくさんあって、モトミはこの大きな地域の中で、たくさんの人の中で、生きていく。
スーパーの人と、そんなんでモトミのことを話す機会ができたので、 「1000円札と100円玉以外は、モトミにとって無用の長物なんですよ(笑)」なんて話もできました。「ああ、そういえば、100円玉が入ってたことはないわね。」なんて。
さてさて。
その捨ててしまう小銭をどうしようかと思いまして。
「100円玉以外もお金。使えるものなんだから財布に入れて」と教え諭すという方法もありますが。それをモトミが理解するにはずいぶん時間がかかるだろうなあ…とも思うわけで。
モトミ専用貯金箱を置いてみました。モトミが小銭を「いらない」と財布から出した瞬間、貯金箱をモトミの目の前に。
最近、ちょいちょいそこに入れております。
たまったら、1000円札に換えればね。また、モトミが使えるもんね。
写真は、仕事をさぼってひとり公園でご飯を食べていたモトミ(笑)
仕事に行くよ!!!
カズミ