コウヘイ

ちょっと前に、「コウヘイ、ピンチ！」という記事を書きました。 http://nijirock.com/blog/?p=941

にじ屋のイベントがある日に、学校時代の同窓会が重なったコウヘイ。 前日に「明日同窓会に行きたいです」とみんなに伝えた。 同窓会は午前中。にじ屋のイベントは午後。 「同窓会が終わってから来ればいいよ。間に合うから」 ということで、同窓会後ににじ屋に来ることをみんなと「約束」したコウヘイ。

結局コウヘイはその約束を破ってしまい、「ピンチ！」となったわけですが。

その続編を書いてみました。 虹の会機関紙「ＳＳＣにじ」に載せた、コウヘイやミツ、タカノブの原稿、そして私の原稿を転載します。 ちょっと長いですが、ぜひ読んで下さい。

【ここには仲間がいる】同窓会事件とはなんだったか？前編

◆「まず一歩」ミツ
コウヘイがぎゃく半ドンをとったのにおやとあそんでしごとをさぼりやがったからつぎの日しごとがおわってコウヘイにゆうことになった。

まえにさとうさんにコウヘイのおやは先生ときいたからコウヘイにおやとあしたからがっこうにいっちまえとゆってそとにひっぱりだそうとしたけどコウヘイも力がつよかったからすごいばてたしすごいのどがいたくなりました。

それからコウヘイが一人一人にあやまったけどことばがたりなかった。ケイタイに出ないとゆう話になったからまずいっぽケイタイにでるところからはじめればとゆってあげました。

ケイタイもっているだけじゃいみがないしことばをちゃんとゆわせるよりもケイタイがちゃんと出れたほうがいいのかなとおもってゆってあげました。

コウヘイみんなにあやまっているところをきいているとことばをちゃんとゆわせるいみもないのかな、と。

◆「子どもだ！」タカノブ

かいき(会議)てコウヘイは、とうそうかいあてやすみますといっていた。その日は人間ロックあるからおわてからにじ屋くればいいよとみんなもいってとうそうかいはこうゆうせんたーでやるとゆていた。

よくじつコウヘイはごごからて(出)になてこせんちゅうは、とうそうかいてした。人間ロックかはじまてようちゃんとユキとほく(僕)てコウヘイおそいなゆていた。コウヘイにてんわしよとしてほくからてんわしたけとてない。2人にもてんわかけたかてない。よるになてうちあけのときもてんわしたかてない。

つきの日コウヘイはネットにきていた。みんなかわかになてきのうてんわやみんなとやくそくしていた。せんばい(先輩)もコウヘイおこり自分はもうあきれている。

コウヘイきくととうそうかいおわりおとうさんかサッカーみにいこうとさそたみたいた。なんかおとうさんのせいみたい。コウヘイは、わるくないのか。

コウヘイしこと(仕事)しなからかんかえてみろとゆわれて自分もおちつこうとした。なにおこているたろう。

そういえは、ケイタイにて(出)ないといけない。コウヘイケイタイちゃくしんけしていた。ケイタイはスマートホンでつかえていない。コウヘイまだことも(子ども)た。

◆「自分のこと」コウヘイ

小林考信、千田ちゃんとかに電話にごめんなさい。同そう会が終わってから、ネットにいけばよかったことのところ。6:00レッズvsアルビレグス新がた。お父さんとお母さんのことをむししゃよかった。ミツに、「幼ち園に行け」ツノちゃんとかゆわれました。みんなでひきずりおされました。激しくていこうしました。だけど、ミツがとめてくれました。ネットにもどりました。「やるのか」「きらない」みんなと、「けいたいの出ます」お約束しました。

後編に続く…

カズミ

「虹の会(Since1982)」は「どんなに障害が重くても地域で暮らすのがあたりまえ」をスローガンに掲げ、さいたま市を拠点に活動する障害者団体です。障害があっても、ひとりの大人として、市民として、人間として、障害を理由とした差別を受けることなく、地域で暮らしていけるような社会を目指し、活動を続けています。虹の会では会員さんを募集しています。会員さんには、毎月「虹の会機関紙【SSCにじ】」をお送りさせていただきます。機関紙には活動の様子やイベントのお知らせ、障害者運動に係るさまざまな見解などが掲載されています。年会費は賛助会員￥6000普通会員￥3000となっています。お問い合わせは048-855-8438虹の会まで。http://www.nijirock.com/nijinokai/honbe

にじ屋イベントの日、コウヘイの同窓会がかぶってしまった。しかもそのことをコウヘイ言っていなかったから、仕事の予定になっていた。 前日になって「同窓会があるので、行ってきます」とみんなに伝える。

まあ、同窓会は行っといた方がいいよね。じゃあ、終わったらにじ屋においで。それからでもイベント間に合うから。もし二次会とかあって来られなくなったら、電話しな。

そんな約束を前日して、コウヘイは同窓会へ。

が。
その当日、夕方になってもコウヘイがにじ屋に来ない。昼過ぎには同窓会終わるはずなのに。タカノブとかが心配して携帯に電話をするが、出ない。結局その日、コウヘイは仕事に来ないまま連絡もつかないまま終わってしまった。

翌朝。

私がネット事務所に行ったら、玄関外でコウヘイをみんなが取り囲んでいた。「昨日、なんで仕事来なかったの？」「オレ電話したのに、なんで出なかったの？」「来れないときは電話するって約束したじゃん」

でも、とりあえずもう仕事も始まってしまうし、にじ屋を開店しなきゃいけない。「続きは仕事終わってからな。コウヘイ、みんな怒ってるんだからどうしたらいいか、仕事しながら考えとけよ」というわけで、一時中断。

そして仕事終わりまして１９時頃。話、再開。

コウヘイ「昨日、にじ屋に来られませんでした」知ってるよそれは。 なんで？コウヘイ「お父さんとサッカーを観に行きました」は？仕事なのに？コウヘイ「遊びに行きたかったので遊びに行きました」

こいつ、分かってない。
仕事だったのに遊びに行っちゃったことを、みんなが怒ってるって、分かってない。すぐ謝る流れにいくのかと思ったら、みんなの怒りが分からないから謝るということにならない。

平然とした顔で「遊びに行きました」と言われてさすがに腹が立った。遊びに行きたいから行きましたって子どもだね。じゃあ仲間じゃないね。
ここは働く大人の集まりだもん。さようなら。出てって。

ミツがぶち切れた。「おまえ夏休みだと思ってんだろ！だったら明日から学校行けよ！お父ちゃんと学校行けよ！」そのまま、抵抗するコウヘイを引きずって、窓から放り出そうとするミツ。ミツは切れたら怖いのだ。

事務所内に入って話再開。

タカノブ「遊びに行きたいからって行ってたら子どもだよ。大人は大変なんだよ。厳しいんだよ」結局２０時近くまで、コウヘイを問い詰めたり怒ったりなんやかんや。

「で、今日はコイツどうするよ？」「電話には出るって約束して」「それでいい？」「とりあえず、それでひとつ大人になってくれれば…」←この発言ミツね。「うん。急に大人にはなれないもんね」←これタカノブ。

というわけで。
コウヘイが、理解できたのかどうかは不明。でも、みんながなんか怒っていて怖かった、自分を窓から放り出そうとした、最後に「すみません」って言って、みんなはおさまった。そのことは、五感が記憶しただろうと思う。

この話の最中、しっかり受け答えをしているように見えたコウヘイだったけど、唇は真っ白だった。そして「出て行け」と言われると、そこだけは顔をこわばらせて抵抗した。いろいろ分からないこともあるけど、でもコウヘイは「ここに居たい」ということはハッキリしてるんだな、と思った。

「こいつ謝り方も知らない」ということで、最後、フォローしてもらう。「『これからは電話に出るので、許してもらえるでしょうか？』ってみんなに言え」

「…これからは、電話に、出て、もいいでしょうか？」

わー！なんで途中を抜かした！？さては…おまえバカだな！？笑

ちなみに。 コバは今日、昼過ぎで仕事は終わりだったのだけど、「コウヘイの話が終わってないから」と、夕方また事務所にやってきた。 カッコイイよ先輩！！

↑みんなに問い詰められるコウヘイ。図らずも、バックの壁紙は「自由と責任」笑

カズミ

ある仕事の日のこと。 コウヘイたちが、ネット事務所での作業終了。「にじ屋にいる人に電話して、手伝いに行った方がいいかどうか聞いてみて」と言われたコウヘイ、自分の携帯電話を手に取る。

その間にも他のメンツはなんやかんやと細かい仕事をし、数分後、ふらふらしているコウヘイを発見。

「あれ、コウヘイ電話したの？」
「うん。」
「にじ屋の人、なんて言ってた？」
「…えーゆーおるすばんさーびす…」

おい！！（笑）
それ電話できてないじゃん！

私たちパソコンに向かっていた外野は密かに大ウケだったのだけど、そこに居合わせた佐藤さん、 「おまえな、それ仕事って言わないんだよ！」 と、コウヘイに話し始める。

「携帯はおもちゃじゃないんだよ！」 神妙に話を聞くコウヘイ。

おまえは、にじ屋の人に、手伝いが必要かどうか聞けと言われた。だから電話をした。でも、お留守番サービスじゃ、話できてないだろ？ なのにその後なんにも言わずに、なにもせずに、ふらふらふらふら。 それは仕事か？おまえに今与えられた仕事は、にじ屋の人と連絡をとること。留守電だったら、じゃあ次、どうしなきゃいけない？

みんな、それぞれに仕事があるんだよ。それぞれが、それをやっていかなかったら、にじ屋は負けるぞ。全員野球だって言ってるだろうが。

そんなようなことを、佐藤さんはコウヘイに、もっとわかりやすく説明してました。携帯電話に関しては、実はちょっと他にもいろいろ問題というかクリアしなければならないことはあって、の話でもあったと思うのですが、とりあえずそれはちょっと置いておいて…。

この、「自分に任された仕事をする」ということ、別にコウヘイに限った話じゃないです。 普通の会社で考えても、しごく当然のこと。そして、自分でできないと思ったら相談すればいい。

コウヘイの場合、４月に入ったばかりの新人だからよく分かってないということがあったり、知的障害ゆえに理解するのに時間がかかったりはあれど、でも、しごく当然のことです。

それを、周りの人間が、障害があるからというフィルターに勝手にかけて「分かんないのよね、いいのよ分かんなくて」「難しいからやらなくていいのよ」で済ませてしまう。そういう場面は、世の中ゴロゴロしてんだろうなと思うと、悔しくなる。

障害者を、より「障害者」という枠に押し込めていくのは、周りの人間でもある。

（いつもは視線をそらしたり下を向いちゃうコウヘイが、「これは聞かなきゃいけない」と思ったらしい。佐藤さんを正面から見つめる）

カズミ