虹の会機関紙「SSCにじ」4月号より転載
学歴や能力という資格を止める。
-虹の会給与規定改正-
文:外口孝治
今年度の給料をどうするかということから、給与規定、これからの給与についてどう考えていくか、評議委員会や役員会で議論を重ねた。
虹の会の給与規定は30年以上前に作ったもので、30年経って見えてきたこともあるし、その時の思いで作ったものも今の状況と合わなくなってきていると思うところもあった。
評議委員会や役員会で、「給与規定や規約など根本的なことでもアンタッチャブルではない。現場に則して変えていいし、やりながら変えていけばいい。雇われる側でもあり雇う側でもある自分たちで考えて作っていく。やっている人が納得できるように変えていけばいい」という議論をし、これまでの給与規定に対する反省をし、その上でこれからを見据えて給与規定を改正することにした。
「学歴や能力という資格」
専従職員は給与規定、給与表に基づいて給与をもらっているが、この給与規定は、雇い主が給料をいくら払うという義務的なことを記している。
給与規定をあらためて読んでみると、専従の給与は高卒か短大卒、大卒かによってスタートとなる給与額が違っている。また、昇給も「級」という「○○ができるようになったら昇級」という能力を評価した給与表に基づいている。
大卒という資格があったら18万スタート、5年以上の勤務年数と仕事内容を評価して○級という資格を与えられる。
企業や公務員の給与体系ではあたりまえのことかもしれないけれど、この学歴や仕事の能力、期待値が給与をもらうための資格とされ、そして給与額の根拠とされていることはどうなのだろうか。
○変える!
この学歴や能力、期待値という資格で給与が決められてきた状況を止めて、虹の会での勤務年数を評価する体系に。
具体的には専従の給与表を新たに作成して、そして、専従の給与額についてはその給与表を参考にして労使間交渉で決める、ということに。
本来なら給与規定は雇い主が作るものであるから、毎年の給与を「労使間交渉で決める」とはならないだろう。
労働者が給与規定を作ることもないし、雇われる側でもあり雇う側でもある虹の会専従だからこそ、労働者として、給与表なし、労使間交渉で決めるという思いでいる。
「扶養手当というもの」
給与規定を作った当時は給与10万であって、「そんなのじゃダメだ」と介助がお金がもらえない職種になっていることを変えたい、ということから扶養手当や住宅手当等の手当になった。
今でもいわゆる福祉職は給与が低くて、この状況を変えていかなければいけないのは変わっていないのだけれど、この扶養手当の扶養ってなんだろうか。
給与規定を作った30年前は夫が妻と子どもを養うという社会で、その時は扶養手当というものが意味を成していたんだろうけれど、今はどうだろうか。
実際に妻が正規で働いて夫が非正規になっていることもあるし、共働きがあたりまえになって、この扶養するという考え方がズレてきているのではないか。大人同士で扶養するということへの違和感がある。
○変える!
扶養手当を全面的に廃止して、これからの社会を担う子どもたちのために「子ども手当」を新設する。具体的には、18歳未満の子ども1人あたり1万5千円を支給する。○人目から減額ということもなし。
今、産休中の介助者もいるし、もうすぐ産休になる人もいるし、子どもの横には親がいるので、子どもと子育てをする親を応援していきたい。
今、扶養ということでは親の介護ということも出てきているけれど、その時の考え方や状況に合わせて、声を上げて自分の給与ということを考えていきたい。
了