虹の会機関紙「SSCにじ」11月号より転載
井上、市丸たちの生活は、我々のタダ働きの上に成り立っている。
タダ働きの対価を要求する。
虹・専従介助者労働組合
委員長 外口孝治
にじ屋を運営する障害者生活ネットワークうらわ、通称「ネット」の財政状況が厳しい。
ネットには地域活動支援センターD型という補助金が出ているけれど、家賃とか事務経費を差し引くと年間700万くらいしか残らない。この700万で2.5人の職員を雇えという状況。
いわゆる社会福祉従事者の給料が低くて、実際これだけ低いし、そしてこの補助金の額は変わらないから、昇級が少しだったり昇級がストップということになる。
未来のない仕事になってしまう。
ネットは、にじ屋をやって終わりじゃない。井上、市丸たちは地域で暮らしていて、そこに関わっている。
にじ屋で働くことだけじゃなく、買い物だったり遊びに行ったり、先日の休みの日には、買い物に行ったコバが自転車の鍵が開かなくなってしまってザキに電話をして来てもらうということもあった。
具合悪いとか通院とか、給湯器のスイッチが壊れたとか水漏れとか、暗証番号を間違えてキャッシュカードが使えなくなっちゃったり、財布落としたとか手帳落としたとか、扇風機が壊れたり買い物途中でてんかん発作になっちゃったり、生活しているからそういうことが毎日普通にある。
そういう時は井上たちは誰かに相談したりして一緒に行ったりしているけれど、にじ屋だけやっていれば地域で暮らせるってことじゃない。井上たちが地域で生きていくためには、この24時間365日、ネットが動いていることが必要なんだ。
何かあったら井上たちのところにすぐに行きたいし行く必要があるし、今、困っているのに「これは勤務時間外だから」「これは自分たちの仕事じゃないから」って言っていたら、井上たちは生きていけない。
だって、本当にどうしたらいいかわからないのだから。
しかし、休みの火曜日だったり、買い物も遊びもトラブルの時も、専従だったりすず、みずえだったりザキだったりが動いたりしていても、行政からそのお金が出ているわけじゃない。
ネットには行政が言う地域活動支援センターD型の補助金が出ているけれど、それは9時17時であって、井上、市丸たちが地域で暮らしていくためには、行政が作る「支援」だけじゃ生きていけない。
井上たちの生活は、我々のタダ働きの上に成り立っているのだ。
一緒に行く人がいなくて自分のやりたいことができない、体調とか家のこととか困っていることがあってもそのままにせざるを得ない、そういうことが地域で暮らすことなんだろうか。
「結局、はみ出ているモノは親がやればいい」という状況を変えたいし、「制度が障害者の生活に合わせていく」ということが必要なんだと思う。
この我々のタダ働きになっている状況を変えたい。虹の会役員会にタダ働きの対価を要求する。