虹の会機関紙「SSCにじ」8月号より転載。
「最後に安全を守るのは現場の人間ではないのか~関係者と話をした」
~さいたま市は駅無人化を進めるJRに是正を求めよ!~
一向に収束する気配のないコロナにより、なかなか外へ出ることも出来ず現在駅がどうなっているのか自分たちの目で確認することが出来ず、もどかしい日々を過ごしています。そんな中、7月16日(木)JR駅無人化問題についてこれはおかしいと我々が声を上げ始めた事がきっかけで知り合いになった、JR関係者が最近の現場の様子含め近況を話しに来てくれたので、内藤さん加納で話を聞きました。
今回、現場の話を聞けたことはよかったとは思いますが、今後自分たちの活動にどのように反映させていけるのか正直なところわかりません。でも、これも時代の流れだから仕方が無いで済ましてはいけない、という思いを強く持ちました。
とにかくJRはより一層金儲けのみを追求していくようになったようで、駅の無人化をますます広げていき、駅の鉄道業務をJRから子会社などに分社化し、人件費や業務委託費などを削減させていくことはJR東日本の既定方針のようです。
すでに千葉の海浜幕張駅は駅ビルを管理している子会社に業務のすべてを委託。今後ますます鉄道業務を手放す駅が増えていくだろうと。
駅を放棄したらJRは今後何をやっていくのか?と聞いたら、スイカをより電子マネー化していく事業と駅ビルやホテルなどを活性化させていくことに力を入れていくとのこと。車いす利用者だけではなく、電子マネーなど使えない知的障害を持ったイチマルたちも、今後電車に乗ることすら出来なくなる恐れが出てくるということです。駅員さえいてくれれば切符の買い方がわからなければすぐ聞くことが出来て、電車に乗って出かけられるのに。
労働人口の減少や加速する少子化問題さらに今年はコロナによる移動の自粛もあり、このままでは鉄道事業での利益が見込めないと安く業務委託させてもはや投げ捨て状態。実際年々鉄道利益は下がっている。とは言っていました。しかしだからといって公共交通機関と言われているのにそんなことでいいのか。あきれるばかりで言葉が出てきませんでした。
ちなみに現在JRの業務比重は鉄道事業が6割、鉄道以外の業務が4割だそうですが、これを鉄道事業を3割まで切り下げていく方向でに進めているそうです。
JR東日本の労働組合も2018年のストライキ失敗でJRの組合敵視が進み、以前は社員のほぼ全員が加入していたけれど、近年加入する人もごくわずかだそうで、さらに労組自体も分裂し弱体化しちゃってますます持って会社ににもの申す事が困難になってしまっている、とこぼしていました。
今回私たちと話をするということで、現場の若い社員に言いたいこと聞きたいことはないか声をかけたら、是非利用している障害者の人の声を聞かせて欲しいとのことで、いくつか答えました。しかしそもそも会社の決めた方針に異議を唱えるというのは難しく、無人化前提というか人員が減らされている現状の中で不快な思いしないように不便が無いように出来ることはないか、という質問が多く、一生懸命鉄道マンとしてできる限りのことはやっていきたいという思いは伝わりましたが、だからといって無人化はやむを得ないということでは無いのだよ、と伝えてくださいと改めて話しました。
聞く話聞く話が現場の労働者をを大事にしない事ばかりで、そもそも鉄道が好き車掌さんになりたいという鉄道マンをJRは求めていないそうで、ただの企業になってしまったように感じると。鉄道に情熱を持った社員は夢破れ辞めていく人もいると。
最近では、駅無人化どころか、運転士や車掌を無くし、自動運転システムを導入しようという動きもあるようです。それで本当に鉄道の安全は保てるのでしょうか。多くの乗客の命を預かる仕事が出来るのでしょうか。何かが起きたとき機械に安全は守れ無いと思うのです。最後に安全を守るのは現場の運転士や車掌、つまりは人間だと思うのです。
現場の駅員たちからも、運転士や車掌を無くしていくJRのトップの考えに対していくらなんでも現実を見てなさ過ぎると不安と反対の声が上がっているそうで、とにかく現場とトップが離れすぎていてどうにもならないと。
もの申すためのストライキも上に睨まれ骨抜き状態だし、なんとか組合の立て直しを図って力をつけたいと奮闘しているようですが、いかんせん黙って物言わず従えの風潮が強くて、社員たちも余計なことは言わないしやらないという雰囲気が漂っているそうです。それが結局は働いている自分たちの首を絞めることになるということ分かっているのかなと私は話を聞いていて苦しかったです。
働き方改革といいながら一人勤務の駅も増え、結果的に労働時間を延ばさざるを得ない過重労働で神経すり減らしキツいしんどいという声が多く上がってきていると。そりゃそうでしょう誰でも想像がつくことです。結果それは乗客を安全に輸送するということからドンドン離れていってしまいます。
労組としても駅員を減らすなと声を上げ続けていくけれど、今のJRは正直組合の声に聞く耳を持たなくなっている状態になりつつあるらしく、内部から突き上げていくこともやっていくけれど、世論を盛り上げて無人化反対の声を大きくしていくのが一番JRには効果的だと思うと。
公共交通機関である以上、JRに対して国交省の大臣から無人化は改善すべきなどの指導が入れば見直しに入らざるを得ないと思うけれど、今の政府は公共性のある鉄道のインフラの充実させていこうという考えは持っていないので、なかなかそこに期待するのも難しいとは思うと。私たちとしては、国交省としてすでに駅無人化により特に障害者が行動を制限させられている現実に対してJRへ監督責任があると思っていますが。
駅無人化を食い止めていくための見通しの持てる話が何一つ出てこなかった事が本当に残念でなりませんでした。そんな中、それでも若手の何人かは鉄道マンとして仕事に希望を持って働いているということを知ることができたのが救いでした。次の世代を担うその人たちが心折れずに誇りを持って働き続けられる会社であって欲しいです。
JRが鉄道事業を放棄してどうするんだよ。本末転倒じゃないかと呆れると同時にこのままでは大前提であるはずの安全を保つことすら出来ないのではないかという不安でいっぱいです。
繰り返しになりますが、安全を損なうような人員の削減は、今でも足りなくて四苦八苦している駅員たちを潰していくことに他ならないと思います。一民間企業だからと、利益第一ばかりを追求するのではなく、かつてJRが掲げていた「人権尊重企業」を思い出して欲しいと思いました。(了)
加納友恵
【ブログ内関連記事】
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◆【総括】第1回話し合い~さいたま市は駅無人化を進めるJRに是正を求めよ!」(2020/7/27)
◆「さいたま市と第1回話し合い~さいたま市は駅無人化を進めるJRに是正を求めよ!」(2020/06/19)
◆「さいたま市は駅無人化を進めるJRに是正を求めよ!その後。」(2020/5/3)
◆電車に乗りたいときに乗りたい。要望書提出~JRは駅無人化をやめよ~(2020/3/26)
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◆JR東日本とさいたま市に要望書提出~「さいたま市はJRの駅無人化をやめさせよ!」(2020/3/21)
◆「さいたま市はJRの駅無人化をやめさせよ!」の本日までの状況(2020/3/6)
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◆『さいたま市はJRの駅無人化をやめさせよ!決起集会報告』(2020/2/15)↓
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◆『決起集会を行います~さいたま市はJRの駅無人化をやめさせよ!』(2020/1/1)↓
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◆『緊急!独自調査~JR東日本が押し進める駅の無人化~』(2019/9/28)↓
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