(虹の会機関紙「SSCにじ」4月号より転載)
JRは駅無人化によってさいたま市ノーマライゼーション条例に抵触している!ただちにさいたま市はJRに是正を求めよ!
~要望書提出その後 国会での答弁、大分の動きについて~
誰も知らないうちに始まった駅無人化も少しずつですが、やっぱりおかしいぞ!と各地でも声が上がってきています。そして、市に先んじて出したJR東日本への要望書の回答が来ました。ご意見承りセンターからでしたけれど。
先月に要望書を提出し、その後さいたま市はまず実状を調べていきたいのでもうしばらく時間外欲しいとのこと。
さいたま市だけで声を上げるのではなく、9都県市会議など共同で話し合い大きな声にしてそして国にあげたい方向のようです。
また市長は3月26日の定例記者会見で、だれもが安全に利用できる環境を作っていただくことが大変重要だ、とJR東日本に対応を促す意向を示した。とのこと。
また今月ニュースでも取り上げられていたのは、さいたま市内のある駅で、今年2月、駅員から駅員不在でインターホン対応になると1枚の紙を手渡されたとのこと。そして「この時間帯は絶対に来ないでください」と言われたという話。
「インターホン対応」の案内は駅に掲示されていますが、つい最近まで「ご乗車の1日前までにご連絡ください」と書かれていた貼り紙も、現在はシレーっと、表現が「事前の連絡にご協力をお願い致します」と書き換えられているとか。
すでに、ことし2月、さいたま市など5つの自治体は、埼玉県を通じてJR東日本に対し、駅員の再配置や緊急時の対応への遅れや利用者への利便性が低下するため駅構内の安全確保を検討されたい。というような要望書を出しているらしいのだが、根本的な部分でなにも変わっていない。
そして我々がさいたま市に先んじてJR東日本に出した要望書の回答が4月7日付けで来ました。
「駅係員が直接対応する場合と同等レベルのサービスを提供できている。お待たせしないでご利用いただくために事前の連絡にご協力をお願いしています」というような、期待もしていなかったけれど、何だか当たり障りない文面。しかも結局ご意見承りセンターからの回答。これはなんの回答にもなっていない。
【国会で】
一方、国会の国土交通委員会で木村英子さんが3月にこの件について質問。それに対し、国務大臣は「バリアフリー政策というのは、私かねがね申し上げていますように、福祉政策ではなくて当然なすべき政策として考えていかないと、それはなかなか進捗してこないという信念で取り組んでまいりました。それはそうなんですが、しかし、他方、現状と目指すべき目標というのはやっぱり乖離があって、そこを埋めるのはやっぱり時間が掛かるというのも現実でありますので、一歩一歩進めていかなければいけないと承知をしております。
現実、今見ますと、全国で駅が九千四百六十四駅ありますが、無人駅は実に四千四百七十八駅、四七・三%なんですね。ここをいきなり全部有人化しようというのは、これはそんな簡単な話ではないと思います。
ただ他方、ちょっと、先ほども質問聞いていましたが、都心の、資料に配られております千駄ケ谷とか、こうした駅まで無人の時間帯というのはちょっと、いささか問題があるんではないかなというふうに思いますし、ちょっと、それはそれで、やむを得ない駅と配置すべき駅というのをもう少し精査をすべきではないかというふうに私は思っておりますので、その点はしっかりと進めていきたいと思います。
障害者の皆様から見るとなかなか御満足いかれない状況かもしれませんが、一つ一つできることから、目標は掲げながら着実に前に進めていきたいと、こう思っております。」と、かなり「役所的な言い回し」と、「利用人数がすくなければ無人化も容認」と取れる回答。
3月10日の 法務委員会では高木錬太郎さんがこの件について質問。
それに対し法務大臣は、「障害の有無等にかかわらず、誰もがお互いの人権や尊厳を大切にし、いきいきとした人生を享受できる共生社会を実現することは法務省の重要な施策の一つです。法務省としては、障害者の方々を含む様々な人権の課題について、人権啓発活動や人権侵害に対する調査、救済活動を通じて共生社会の実現を推進してまいりたいと思います。無人駅に行って電車に乗れないというのは本当にあの、不便だと思いますし、それは企業の人員の問題等もあるかと思いますが、どのような改善ができるかということを担当省庁と相談をしてみたいと思います。」と、これも及び腰の回答。
【大分では】
また以前決起集会の時に話題に上がったJR九州に対する動きですが、大分合同新聞に関連する記事が多くありました。
2018年より署名運動も行われているとのことで、「署名活動は「障害のある人に対する合理的な配慮や、差別の解消を求める県条例に逆行している」と、5月から開始。県内の障害者団体や自治会を中心に、目標の2万を大きく超える7万2108筆(14日現在)が集まっている。」(大分合同新聞の記事より抜粋)とのこと。
その後、署名でもらちがあかず、19年年3月には、日豊線の牧駅(大分市)を無人化し、代わりにインターホンで応対などをする遠隔案内システムなどのJR無人化に対し、県に調整役を要請しています。
大分合同新聞の記事です。
「徳田弁護士らは記者会見で「署名活動などでJRに撤回を求めてきたが中止する気配がない」と、県に相談した経緯を説明。「経営状況を根拠に無人化するのは納得できず、従来通りの対応を求めるのは過重な負担ではない」と主張した。
脳性まひがある宮西君代さん(56)=同市=は「言葉を聞き取ってもらいにくく電話は苦手。事前予約は苦痛で、無人化は新たな社会的障壁を生む」と訴えた。
同室は「双方の状況や主張を中立的な立場で精査し、互いの理解が得られるよう調整したい」とコメントした。
2016年4月施行の「障がいのある人もない人も心豊かに暮らせる県づくり条例」は公共交通事業者に対し、合理的な理由なく利用者に不利益な取り扱いをしてはならないと定めている。障害を理由に差別があった場合、県は相談を受け付け、関係者間の調整をすることを明記している。」
我々がさいたま市に求めていることと同じ感じのことがすでに大分では行われいたということになります。
その後の大分ではその後提訴に進んだようです。昨年11月の西日本新聞の記事です。
「JR九州が大分市で進める駅の無人化が「合理的配慮を欠いている」として、大分県内の障害者や支援者らでつくる市民団体が同社に慰謝料を求め提訴する方針を示したのに対し、同社の青柳俊彦社長は21日の定例記者会見で「法律の場で争われても、ちゃんと理解していただけると確信している」と述べた。
JR九州は市内の8駅に、カメラやインターホンを設置した上で常駐の駅員を置かず遠隔対応する「スマートサポートステーション」を導入する計画を昨年発表し、既に3駅で導入。市民団体は7万筆を超える反対署名を同社に提出している。青柳社長は「国土交通省のガイドラインも踏まえて問題ないと考えている」と話し、残る5駅への導入も計画通り進める考えを示した。」
この提訴の件について、大分合同新聞は今年1月に次のようにも報道しています。
「JR九州が大分市内で進める駅の無人化に伴い、列車の乗降に介助を希望する人から受け付けている事前予約について、前日までの申し込みを求める利用案内を昨年12月にやめたことが24日、同社への取材で分かった。無人化と事前予約を巡っては市民団体が同11月、「障害者差別に当たる」と提訴する方針を決めた。その直後の変更だが、大分支社は「提訴とは関係ない」と説明している。
同社によると、同12月1日に申し込み方法を記したポスターから「前日午後8時まで」の受付期限を削除した。「事前予約」の表記は「事前連絡」と改めた。「提訴方針の報道がある前から変更を決めていた。もともと当日対応もしており、実態に即したものにした」という。
同社はこれまで乗車前日までの予約を呼び掛け、「当日も基本的に対応する」としていた。表記変更は大分、福岡両県内で実施し、変更の周知はしていない。大分支社は「サービス内容は以前と変わらないため」と理由を述べた。
障害のある人や支援者でつくる市民団体「だれもが安心して暮らせる大分県をつくる会」は、無人化で予約が必要になった点を「(社会的な障壁を取り除く)合理的配慮を欠いた対応だ」と批判。大分地裁に訴訟を起こす方針を決めた。
共同代表で車椅子利用者の宮西君代さん(57)=大分市=は「変更は知らなかった。周知が不十分」と指摘。同じく共同代表の徳田靖之弁護士(75)=別府市=は「裁判対策だ。前日までの期限がなくなったのは歓迎すべきだが、無人化で予約が必要なことに変わりはない。問題の根本的解決にはならない」と話した。」
さいたま市に対して出した要望書については先号にもお伝えしたとおりですが、今後、話し合いの場をしっかり設け、 ノーマライゼーション条例を掲げるさいたま市の姿勢を問いただしていきたい。
大臣の答弁、大分の状況を見るにつけ、基本は、「合理的配慮を必要とする」としながらも、なんだかんだ「無人化を強行する」「容認する」という姿勢が見えてきます。
「障害者には優しくしましょう」という耳ざわりのいい言葉の裏で、現実には大量収容を軸とする施設政策が行われ、介助料の現実的削減などを行ってきた政治のやり方にはもううんざりです。
そもそも、「優しくしましょう」というのなら、耳ざわりのいい言葉ではなく、当事者が求める声に答えるべきである。
まあ、そんな言葉はもういいです。本質的なノーマライゼーションの実現を強く求めます。
(加納・さとう)
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