(虹の会機関紙「SSCにじ」11月号より転載)
トークイベント「障害者に『豊かな人生』は必要ないですか?」を終えて
~「補助金の適正利用だけが問われる監査」から見えてくるもの~
「おかしなことはおかしいと言おう!」
11月10日、日曜日のにじ屋閉店後に、「障害者に『豊かな人生』は必要ないですか?~「補助金の適正利用だけが問われる監査」から見えてくるもの」と題して、トークイベントを行いました。これは、わたしたち「障害者生活ネットワークうらわ」に対する、市の監査後に企画した、機関紙上の特集「敵は誰か?~監査から見た障害者福祉の社会的考察」を終え、そのまとめとして、行ったものです。
ライブの一週間後ということで、告知もままならない状況でしたが、蓋を開けてみれば、虹の会の会員さん、にじ屋の常連のお客さんに加え、障害者施設の職員の方が清瀬から、ほかにも都内の子どもの通所施設で活動されてる方、近所の施設の職員の方など、初めてお会いした方もたくさんおられて、総勢30名を超えるみなさんとの、賑やかな飲み会トークイベントとなりました。
監査についての説明を、登壇した新田さんから。当日紹介できたらと考えていた他の作業所の監査書類は、条例で公開の対象から除外されていたので見ることができませんでした。しかし、そのかわり、その動きの中で、結果的には市の職員がにじ屋を実際に見に来る機会につながり、監査の内容や私たちが指摘した問題点…たとえば「保護者」「保護者会」という言葉をなぜ成人に対して当然のように使うのかなど…について、市の職員の側から「確かに指摘の通りだと思う」という話もできたことや、作業所の活動の中身については監査の書類もほとんど読んでいない、と言っていたのですが、他の作業所の活動について、「◯◯作業所はパソコンの作業してるでしょ」というパンフレットのうたい文句程度の認識に対し、以前そこに通っていたカブキの「ほぼ毎日コーヒー飲んでたよ」という答えを受け、それを聞いた市の職員が驚いて「見に行かないとダメだ…」と言ったことなどのやりとりがあったことをみなさんにお伝えしました。
そして参加した人の中からは、職員として働き始めた作業所で、「『担当』の職員が知らないところで障害者と勝手に話をしてはダメ」と言われ、障害を持ってる人たちに話しかけるのに躊躇するようになってしまったという話も出ました。でもそのような雰囲気はその作業所では、特に専門の勉強をし資格を持った職員の中では当然のようで何も言えず、同じように感じた人とは、トイレで話をしているのだ…という衝撃の告白も!
「そんなのおかしい!」「障害もってる人が誰と話そうととやかく言う必要ない」など他の参加者からも声が上がり、その人自身も「わたしがもし障害者になって作業所に通うようになったらと思ったら悲しくなったんですよ。」と。最後「なんと思われてもいいから、次は言ってみようと思います。」と言っていたので、後押しになったのであればうれしいと思いました。
参加者の中に、たまたまなのですがこの方の話の場面を見ていた方がいて「私もなんか変な感じがしていたのよね」と。「そういうものだから」とずっとそういうことを繰り返してそこにいる人にはあたりまえで通用していても、ちょっと外から見たら通用しない、ということです。でも閉鎖されがちな障害者施設、作業所では、障害当事者を含め「ヘンだ」と気づく人が少数派、弱者ということなのかもしれません。新しく入ってきた職員はどんどん辞めていってしまうとのことでしたが、それも関係しているのでしょう。
でもこうして声を上げたことで、同じようにおかしいと思う人と出会うこともできるのですよね。
また、今いるところに疑問を感じながら活動してるという他の参加者からも「ココ(虹の会)みたいに、自由に、あたりまえにやってるところがあるって知ってホッとした」と言われました。
わたしたちが、このような「監査」についてのトークを、なぜにじ屋で、そしてなぜ「飲み会トークイベント」という形でやろうと思ったのか…。監査というと、小難しいことのように思われてしまうけど、こういう問題は、勉強したい人が勉強するためにやるのではなく、一見市丸たちが直面しているようだけど「この状況の先に自分たちも関わってくるのだ」ということを共有したかったからであって、よもや市丸たちの「ためにだけ」ではありません。
そういう意味で、参加された方が、自分の置かれた立場でこのことを受け止めて下さり、みんなが自由に飲みながら、けーこさんを中心につくってくれた肴をつまみながら、お話ができていい会になりました。
またこんなイベントやりたいなと思います。了
(内藤亜希子)
*当日の写真