虹の会機関紙「SSCにじ」3月号より転載。
虹の会50周年に向けて、40年目の今、評議委員会で話していること②
会費のこと
副会長・さとうかずしげ
今年度虹の会40周年ということで、50周年に向けて「こんなことを評議委員会で話し合っています」というのを先月書きました。
その中で、虹の会本体の規約改正の提案を総会でしたいと思っていることについて、今回は書こうと思います。
【間違ってた規約改正】
虹の会の規約はそんなにこれまで触ってきていません。
というか、そもそもそんなに細かいことが書かれているわけじゃないし、あまり普段には関わりがない、という存在であったということですね。
初代会長の福嶋あき江さんを中心にして作られたモノだと思うんですけど、その頃は俺もいなかったのでよくわかりませんが。
調べてみますと、彼女を中心に作られたのが1982年。
改正の最後が2003年になっているので、ほぼ20年触っていません。
03年を含め、3度だけ改正されていますが、それは他事業(ネットやシステム)との兼ね合いで、会議の名前を変更したりのことで、ほぼ中身はそのままと言えます。
ただ三度の中の一度は、重要な変更をしました。
あき江さんが亡くなってオレなんかがかおるさんや佐竹、竹脇や三原さんたちと虹の会をもう一度始めようという時に、会費の改正をしています。
その時、かなり虹の会は財政的に窮状に陥っており、まあそれは今も変わらないんだけど、会費の額を上げたのです。
普通会費2千円を3千円に、特別会費を5千円を6千円に上げました。
これ、今考えると、絶対ダメだったと思います。
オレは当時、この提案をする側だったんですが、もう何もわかってなかったな自分!とつくづく思っています。
これについては、その後十年くらいしてものすごく心残りで、いつかこれは再度改正しなければならない、と思っていました。
なぜダメかというのは、これ簡単で、「高すぎる」んです。
当時、バブル期だったとはいえ、ダメですね。
世の中見えてなかった。
本当にこれは視野が狭かったとしか思えません。
【たくさんの人の手で】
その頃から30年くらいを経て、今、格差が問題になり、「障害者は年金もらってるからイイよな」的な、当時とは全く逆の見方をされることも多くなりました。
まあ、当時からそういう人はいましたが、ここまで多くはなかった。
もちろん、それが間違った認識による意見であることは当時も今も同じなんだけれど、しかし、この状況は本来共有できるモノで、いや、共有して社会に対してこの格差を訴えていくべき部分であり、ここで分断されている場合じゃないと思うんですね。
そういう論議ができる状況が今整ってきている、現場や役員間でそういう論議がきちんとできる状況にある今、改めてこの時の間違いを取り返すべく、評議委員会では、会費の値下げを提案するつもりでいます。
たくさんの人に、ウチの機関紙を読んでもらいたいし、一緒に声を上げてもらいたい。
そのために今必要なことは、高い会費を下げることだと思っています。
確かに、機関紙の印刷にも発送にもお金はかかります。
その他、様々な部分でお金がかかる。
たくさんの方に支えていただきたいという思いは同じなんだけど、今思っているのは、会費収入の総額を上げることではなく、会費を収める人を増やしたい、という気持ちなんです。
同じ30万円予算なら、100人の方に会費を納めてもらえばいい、ではなく、300人の方に会員になってもらいたい、会費を納めてもらいたい、という方向です。
我々庶民は、やはり束になってナンボだと思います。
誰かのスポンサードで活動を続けていくことは、社会運動としての障害者運動の意味からも外れてしまうと思っています。
たくさんの人に活動を理解してもらいたい、参加してもらいたい。
それこそが、社会を変える、今の「障害があったら生きにくい」「障害があったら電車にも乗れない」状況を変える方法なのだと我々は改めて思っています。
【会費を下げたい】
そのために、高すぎる会費を下げようという提案を総会でします。
当時一緒にやっていた佐竹やかおるさんは亡くなってしまったけど、オレや竹脇ら、当時やっていて、今もやっている我々にしてみれば、30年の間違いをやっと取り返すチャンスが来たという気もしています。
亡くなってしまった彼らの分も、俺たちは間違ったことを修正しなければならない。
確かに当時は主たる収入源がありませんでした。
けれども、今は活動の幅も広がり、会費だけに頼らずともそもそも運営そのものは回るというところもあります。
しかし、だからといって、会費が高すぎる件はどうでもいい、としてしまうのは、会のあり方自体を放棄しているようにも思うのです。
少なくとも、会報、うちでは普段「機関紙」と呼んでいますが、機関紙の発行くらいは会費でまかないたい。
というか、そうすべきだとも思います。
だから、会費単価は下げるにしても、多くの人の協力を得る、ということを目標にして来年度以降、50周年に向けて進んでいきたいと思っています。
そのために、機関紙も充実させていきたいと思います。
【ネット支払いができるように】
同時に、今、インターネット社会。
今の会費の納入はどうしても振り込み、もしくはにじ屋なんかにもってきてもらう、という方法しかないんですが、「そんな時間あるかいな!」って方もいると思うんです。
この40年で忙しい世の中になりました。
買い物に行くよりもインターネットショッピング、というのは、なんだかもう普通のことになりました。
そうなれば、「会費はインターネットで払えないの?」ということについて論議する時に来ていると思います。
いや、遅すぎるかもしれません。
確かに、我々はインターネットに関してちょっとビクついているところがありました。
ビクついているというか、気分的に運動に対してアナクロが過ぎたとも思います。
藤井が亡くなって、余計に「現実的に進めてくれる人がいない」というところもありました。
まあ、もちろん藤井自身も運動を考えて行く感覚としては我々と同じようにアナクロが過ぎたところもあり(ってか、そうやって一緒にやってきていた)、彼の技術を全てインターネットに注ぎ込んでいたかというとそうでもなかったと思います。
今になって、「インターネットを重用しよう」ということを言うと、天国(地獄?)から「オレがやりたかったよ」、という声が聞こえてきそうですが、評議委員会ではその方向でやろうと思っています。
実際は税金の問題などもあり、そんなに気軽にイケるモンでもない、というようなことも判明してきて、現在討議を重ねています。
まあ、まず会費が、カンパ的なモノがインターネットで扱えるようにならないと次の一手も打てない気がしますし、まずそこやれよ!ってことではありますので、今、そこを具体的に考えているところです。
【エピローグ】
というわけで、まだ総会の日程などはコロナのこともあるので検討中ですが、来月号には総会の議案が付録で出せたらいいな、と思っていまして、そうなるとシステムの規約によってその一ヶ月後以降に総会ができることになるかな、という感じで進行は考えています。
まあ、本当はたくさんの方に気軽に話してもらえるような、これまでやってきた「総会飲み会」、みたいなのができたらいいと思うのですが、こればっかりはコロナの様子で。
ではみなさん、手をつないで、敵を見失わず、一緒に50周年まで走ってください。
あ、いや、やっぱ走るんじゃなくて、歩きましょ、ゆっくり飲みながら軽やかに、笑いながら。
そしてバカ騒ぎして、世の中にそのバカ騒ぎが広がっていくように、楽しくいきましょう。