「カイがお客さんの眼鏡をふっ飛ばしてしまった」ことから考える。(その2)
「カイがお客さんの眼鏡をふっ飛ばしてしまった」ことから考える。(その1)
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のつづき…
カイは、毎日の中で何をどうやりたいのだろうか。
一日が、カイが予想したように進んでいったらいいのか。できる仕事が用意されていて、たまにやったことないけどやってみたらできて、できる仕事も増えていく。ふらっとしたい時はそう言って「わかった」と言ってもらって行くけれど、また戻ってきたらちゃんと仕事がある。
みんなが笑っていて怒らないで、お茶飲みたいとか言ったらわかってもらえる。何度も言ったら「これ終わったら」とか言われるけれど、終わったらちゃんとお茶が飲める。
そんな感じでやりたいのかなあ。
先日、カイとコンさんでネットで値付けをしている時に、カイが「お茶を作って」と要求していた。この日はかなりの冷え込みで台所の水道が凍結していたので、水が出ずお茶が作れなくって、そのことでカイがポットを投げて壊してしまったことがあった。
コンさんはその時のことを振り返って、「2人の関係性の中でカイが主導権を握ってるようなところがあるんじゃないか。一緒に仕事しよう、何かしようといった時に無理難題をふっかけてきているように感じてしまう。車運転中に爪切ってくれとか、朝の運動でネット出る時に『寒いから軍手しなね』その一言で噛んできたりして、お茶作るのも、ポットのお湯じゃなくて水から沸かせという感じだったり」と言っていた。
主導権を握りたいということはあるかもしれないし、実際にはよくわからないのだけれど、その時がカイが話を聞けない状態ということもあったりする。
でも、「話を聞けないから」と言ってしまうことが多いけれど、そもそも「話を聞けない」ことは、カイに起因することなのだろうか。
話を聞きたい人が話していたら話を聞きたいし、話を聞きたくない人が話していたら聞きたくない。聞きたい話だったら話を聞くし、興味がない話だったら聞かない。気持ちが落ち着いている時は話が入ってきやすいし、苛ついている時は話を聞きたくない。
苛ついている自分をなんとかしてくれる人だったら、委ねることができるのかな。自分の気持ちをわかってくれる人、わかろうとしてくれる人には安心できるだろうし、話を聞けないというのはあたりまえのことで、どうやったらカイが話を聞けるようになるのか。
カイが落ち着かない時には一旦やっていることを止めて座らせたりすることもあるけれど、間を取ることで気持ちの切り替えができたりするし、もし気持ちが切り替えできなければ、この仕事はできなくてもいいかと思ったりする。
でもそう書きながら、やはり問題をカイに帰してしまっている。そもそも「カイを厳しい状態に置いている」ということはないのだろうか。
カイは仕事をしたくないのだろうか。仕事をしなかったとしたら、ストレスはなくなるのだろうか。
一緒に仕事をしていると、目処がついてくるとスピードが上がったりして、カイは仕事の達成感をを持っていると感じる。夜、布団に入る時はニヤニヤ雄叫びを上げたりしているので、「今日も一日終わったー!」という感じなのかもしれない。
仕事は、自分が社会の中に存在していることだったりを感じるための一つの手段ということもある。にじ屋の売り上げに自分が貢献していたり、みんなで今日やったことに自分も加わっていたと思ったり、誰かに褒められたり感謝されたら嬉しい。
引きこもったことがあるコンさんやすずは、「仕事がないこと自体はストレスがなかった。家にいて三食あったからということもあるかもしれない。ただ、周りの『この人、仕事してない』という人の目はストレスだった」
「やらなければいけないことがイヤになって『もうやっていけない』と思って引きこもったから、そういうつらいことからは逃れられて気が楽になった。ただその反面、何もしていない自分、誰の役にも立ってない自分ということとか、お金を出してくれた親にも一緒に住んでる姉にも申し訳なくて、でも外に出られない自分、というのがストレスだった」と。
役に立たない、何もしていない自分がイヤだというのは、カイやコバも同じ。コバがやることがわからないと売場でうろうろしてしまって、そういう時は鬱々とした感じなんだろうし、カイもイライラしてしまうのかもしれない。
そういえば、カイは高校の時に体育の授業になっても着替えようとせず、動かなかったらしい。にじ屋祭りに遊びに来たり相馬の海に一緒に行った時も、ベロをずっと出したまま動かなかったりしていた。
カイは引きこもっていたわけではないけれど、ベロを出して動かないことで「拒否」を言っていたのかもしれないし、あるいは俯瞰してみんなを見てたのかもしれないし、もしかしたら「誰がここから出してくれるんだよ」と思っていたのかもしれない。
そこから今のカイがある。
つづく…
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