拝啓 新緑の候 、静かな湖畔の森の陰からカッコー、カコーとてなにやら閑古鳥が鳴いているやうな気がいたしますこちらのページですが、きっと気のせいでしょう。それはきっと小鳥のさえずり。
皆様、ながらくお待たせ致しました。どうも、栗山(仮)です。
今年度より始まりました、アトリエ307 。世界に打って出る、市丸たちの爆発の場であります。307というのは、市丸カイオグラの住んでいる部屋。目下、彼らの「明日への神話」の拠点として旗上げするに至ったのです。ここで月1回、彼らの感性のぶつかり稽古がおこなわれるわけですね。丸腰のフンドシ一丁から産まれる作品は必見ですよ。なにせ、これから暖かくなると腕を見せる機会が増えますからね。ご期待ください。
第1回 アトリエ307 は、自画像を描きました。普段描いている○×表では絵の具を使う機会がないもので、今回は絵の具でもってして描きあげるのが、絶対運命黙示録。
自画像てのは、いわずもがな自分とのべた足ぶつかり稽古ですから、逃げず、うつむかず、背筋を伸ばして、自分と謙虚に相対するより他に道はありません。なんの道か、ほとんどの人は嫌がる題材とまことしやかにささやかれているのです。そして画面には、「こうありたい自分」が出るのだそうで、そのような意識下の自分との対面はいささか勇気がいるものではある。
ゴッホは生涯に40数点の自画像を描いたといいますが、スマートフォンの自撮りばかりで生計をたててる現代人よ、自画像に心血注いでみてはどうだろうか。
彼らの話に戻りましょう。
さあはじまりましたアトリエ307。紙を渡すとすぐに、それぞれパステル画材を気合諸ともに描き殴らんとしていたので、私は最初からその迷いのなさに、「おぉ」とだらしなく口をあんぐりさせてしまいました。
この画伯顏よ。
ノってくると全神経が超稼働。ハイヤーセルフにバイブレーションです。
丸かいて、丸かいて、市丸。
なにを描いても誰を描いても、この様相。これ、本当にありとあらゆる姿態がグッとくる完璧なフォルムだなァと思います。
そうそう、自画像ですからね、よ~くよく鏡の中の自分を見て…あっ…、鏡よ鏡、オグラの口元が!「笑顔になぁ~れ」…。テクマクマヤコンならぬグフグフマヤコン、彼、笑ってるよ…。
しっかり鏡を見て描いているのにこのディテール。
画面いっぱいのタカノブ。溢れんばかりのタカノブ。はみでちゃったタカノブ。
白くしたい所に、絵の具の白を塗る。紙の白の部分を残さないあたりにタカノブくんのタカノブくんたる由縁を感じる。
油絵をならっていたこともあるという井上さんは、最初から明確なヴィジョンがあるのか、構図を考えながら入念に。色の重ね方はやっぱり水彩よりも油絵派か。
人間の肌は肌色じゃあないのだ。
そして、完成。描き上がりました。分娩台よりしっとり乳児です。
Atsuhiro Ichimaru
Atsushi Kobayashi
Ko-hei Matsumoto
Akiyoshi Ogura
Takanobu Kobayashi
Masakuni Inoue
ああ、人の顔って本当にいろんな表情を見せるものね。顔は人間を描くにあたって最も魅力的な部分であり、かつ最も難しい部分でもあったりする。それ故に描きあげた時の喜びは、なんとも言えない満足感。アトリエ307 初回、実に脂ののった、潤沢な時間でありました。
「手なれたものには飛躍がない。常に猛烈なシロウトとして、危険をおかし、直感に賭けてこそ、ひらめきが生まれるのだ」と言ったのは、かの岡本太郎でありますが、かようにも猛烈なシロウトが在ったでしょうか。ぼうぜんとしていて最高ですね。つまるところ、総評と致しましては、
インディアン ウソつかない し、芸術 ウソつかない 。
取り急ぎ、私からは以上です。
(続く)
栗山(真)